やっぱりWebが好き

404ページに何を書く?

Webサイトを作っていて、いつも迷うのが404ページのデザインと文言。
普通に考えて、もっとも制作の優先順位の低いページが「404 Not Found」なわけで、本来は表示されてはならないページです。なので、制作が終わりに近づく頃になって「あ、404作らなきゃ」って感じで作ることが多いんですが、いつも適当に有名ポータルサイトや大手企業のコーポレートサイトを参考に、その場しのぎで文言を見繕ってしまう。
そこで今回のエントリーは、今後の自分の制作に活かせるよう、404ページのデザインと文言を「あるべき姿」という観点でまとめてみます。

年明けましておめでとうございます。HiGash.Net からリニューアルして初めての年越し。個人的にはまだWriting Modeは完成形ではないんだけど、今年から少しずつ世に存在をPRしていきたいと思っています。今年もよろしくお願いします。

さて、新年1発目のエントリーはいつか書こうと思っていた404ページについて。
よく「こんな面白い404ページがあったよ」的なエントリーを見かけたりしますが、普通のあるべき姿ってどういうもんなの?という観点でのエントリーって見たことないなぁ、ということで、いつか書いてみようと思っていたのでした。

404ページの役割

そもそものお話ですが、404って何よ?というと、HTTPのステータスコードの1種です。
HTTPのステータスコードはWebサーバーからのレスポンスを意味する3桁の数字で、1xxから5xxまで結構な種類があります。404はそのうち「Not Found」つまり「見つからない」を意味します。
ちなみに404以外に普段よく目にするのは、200(OK)、301(恒久的な移動)、302(一時的な移動)、400(不正リクエスト)、401(認証が必要)、403(アクセス禁止)、500(サーバーエラー)あたりでしょうか。

HTTP 404 – Wikipedia

さて。ユーザーに404ページが表示されてしまうケースというのはいくつかあると思いますが、主に考えられる原因は以下の3つではないでしょうか。

  1. アドレスバーにURLを打ち間違えて入力してしまった
  2. リンク(サイトの内外問わず)をクリックしたのにページがなかった
  3. 何らかのトラブルの影響で存在するはずのページにアクセスできない

このうち、1. のURLの打ち間違いはユーザー側のミスなので、実際にページは存在しています。

2. にはWebサイト運営者の意図するケースと意図しないケースが考えられます。
たとえば、ニュースサイトの記事などは一定期間経過すると公開終了となり、ページ自体を削除してしまうケースがあります。これは運営サイドが意図的にページを削除しているために起こる404エラーです。
一方、本当はページが存在しているにも関わらず、リンクの記述ミスなどでユーザーを正しいページに導けずに起こる404エラーや、消してはいけないページをサーバー上から削除してしまったために起こる404エラーもあります。

3. は何らかのトラブルによる404エラーです。
通常、サーバーサイドのエラーで404のステータスコードが返されることはないはずですが、CMSの仕様(または不具合)やトラフィックを捌ききれないなど、何らかのトラブルの影響で404ページが表示されてしまう可能性もあります。
話がややこしくなるので詳しいことは省きますが、HTTPステータスコードが404でなくとも、エラーページとして「404」と書かれたページを表示するケースだってあるでしょう。
何が言いたいかというと、本当は存在するはずのページでも、何らかのトラブルによって一時的に404ページが表示されてしまう可能性もゼロではないということです。

以上、3つのケースを考えると、404ページに必要なユーザーへのお知らせは以下の4つではないでしょうか。

  1. URLを打ち間違えていませんか?の確認
  2. ページは我々が意図的に削除(移動)しました。または、意図せずに削除(移動)しちゃったかも、の報告
  3. もしかしてページがあるのに何らかの都合で表示できてないかも。一応、またアクセスしてみてよ、の案内
  4. サイト内検索やサイトマップの提示とサポートのための連絡先の明示

ユーザーに対して、404エラーを解決するためのヒントを提示してあげるとよいと思います。たとえば、サイト内検索やサイトマップを使えば、目的のページに辿り着いてもらえるかもしれません。
また、A. はともかく、B. とC. はWebサイト運営者の落ち度である可能性もあるので、ユーザーに対してエラーを報告してもらうための連絡先を明示するとよいでしょう。
実際にエラーを報告してくれるケースは稀だと思いますが、ユーザーに対して迷惑をかけたことに対するサポートの意味でも、連絡先を明示しておくことがベターだと思います。

ポータルサイトの404ページ

では、実際に世に存在するWebサイトがどのような404ページを持っているかを見ていきましょう。

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1 Yahoo! JAPANの404ページは一瞬でトップページにリダイレクトされる仕様
2 Googleの404ページは至ってシンプル。こちらはYahoo! JAPANと違って自動でリダイレクトはかからない

まずは大手ポータルサイトのYahoo! JAPANとGoogle。どちらもものすごくシンプルに作られた404ページです。ちなみにYahoo! JAPANの404ページは一瞬でトップページにリダイレクトされてしまいます。

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3 朝日新聞の404ページにはサイトの更新時間についての記載がある
4 NAVERの404ページはシンプルだけどとても親切

朝日新聞の404ページは記事の更新日時が記されています。毎日、いくつものページが作られ、消えていくニュースサイトではこうした配慮が必要かもしれませんね。読売新聞の場合はユーザーにサイト内検索を促しています。

インフォシークやライブドアは404ページを表示せずに404エラーが発生した場合、即座にトップにリダイレクトさせるようです。

個人的には、NAVERの404ページはシンプルですが一番親切だと感じました。
エラーの原因を説明しているだけでなく、カスタマーサポートへの問い合わせ先も記されています。

EC、CGMなどオンラインサービスの404ページ

ポータルサイトよりはある程度提供する情報や利用するユーザー層が絞られてくるECサイトやCGMサイト。このへんのサイトを利用する人たちはネットリテラシーが高い人だということなのでしょうか、どこもかなりシンプルな404ページでした。

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5 Amazonの404ページはトップページへの移動を促すのみ。TwitterやFacebookなどのSNSも404ページは非常にシンプルでした
6 サイボウズLiveはいかにもWebアプリケーションっぽい404ページ

Amazonはじめ、FacebookやTwitter、mixi、Pinterestなども404ページは非常に簡素。
サイボウズLiveはWebアプリケーションっぽく、ビジネスライクな404ページを表示してくれます。

コーポレートサイト、製品情報サイトなどの404ページ

コーポレートサイトや製品情報サイトでは、サイトマップを提示するサイトが多く見られます。

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7 アップルの404ページは王道の404ページデザイン
8 ソニーの404ページには、ユーザーに対しての案内が親切に記されている

アップルの404ページは王道パターンです。ページが見つからない理由を説明するとともにサイトマップを提示してあげる。
また、ソニーの404ページにはサイトマップや検索へ誘導する前に、ブラウザの再読み込みを行うように、との案内があります。上述したように何らかのトラブルで一時的に404ページが表示されてしまう可能性もゼロではないので、一応再読み込みしてみてよ、の案内ですね。

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9 リコーの404ページにはサイトリニューアルについての報告が記されている
10 マツダ自動車の404ページはちょっぴりオシャレ。文言にも一工夫あり

企業のコーポレートサイトはわりと頻繁にリニューアルされることが多く、リニューアルによってページを削除したり、URLを変更してしまったりすることがあります。
リコーの404ページの場合は、2010年10月にサイトのリニューアルを行ったから、ページが無くなったかもしれないというアナウンスがされています。
また、マツダ自動車の404ページは当該ページをブックマーク登録していた人に対して、「お手数ですがブックマークの変更をお願い致します」という文言が記載されています。

ちょっとしたことですが、こうした振る舞いが何となく企業の姿勢を表しているような気がして、404ページで得られるホスピタリティというのもあるんだなぁ、と感じます。

その他、特徴的な404ページ

404ページは本来表示させてはいけないページですが、ちょっと遊べるページでもあります。
404ブランディングとまではいかなくとも、おもしろい404ページというのは話題性があるし、(見たいページを見られなかった)ユーザーのストレスだって軽減してくれるはずです。

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11 サクラクレパスの404ページは非常に有名
12 「おしい!広島県」は、404ページも「おしい!」と表現

サクラクレパスの404ページは非常に有名です。自社商品の消しゴムを引き合いに出していて、シンプルだけど面白い発想のページですね。
そして、広島県のPRサイト「おしい!広島県」は404ページにも「おしい!」と表示してくれます。

404ページは制作者からすれば、おまけで作ってあげるページと言えます。たとえ作らなくても、ApacheやIISがデフォルトの404ページを表示してくれるわけだし。

僕は404ページのデザインをクライアントに確認してもらったことはありません。
基本的に作ったあとの事後報告。だからこそ、デザイナーにとってはちょっとした遊び心をもって取りかかれるページだし、クライアントにとってプラスになるものであれば、少し遊び心があっていいんじゃないかと思っています。

404ページまとめ

というわけで、404ページの総括です。
とりたてて新たな発見はないかもだけど、改めてまとめてみるとこうなるのかな、と。

表示する文章として、一般的なのはこんな感じでしょうか。

ページが見つかりません

指定されたURLのページは存在しません。
サイト更新などによってURLが変更になったか、URLが正しく入力されていない可能性があります。
ブラウザの再読込を行ってもこのページが表示される場合は、サイトマップまたはサイト内検索でお求めのページをお探しください。

Web系のリテラシーがある人をターゲットにしたサイトであれば、「404」という言葉を用いたページタイトルでよいかもしれませんが、普通の人には「404エラー」と言ってもきっと通じません。
ざっといろんなサイトを見てみて、もっとも多かったページタイトルはシンプルに「ページが見つかりません」でしたし、僕もこれで特に異論はないです。

上記文言のほかに、サイトのリニューアルを直近に行った場合は「リニューアルしたよ」という報告があってもいいかもしれません。
また、マツダ自動車の404ページのように、ブックマーク変更のお願いというのもあっていいと思いますね。

デザインの考え方はいろいろあると思いますが、一般的なのはやっぱりサイトマップを表示してあげることですかね。迷うようなら、とりあえずそれで間違いはないかと。

有益な 404 ページを作成する – ウェブマスター ツール ヘルプ

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13 Apacheのデフォルトの404ページ。シンプル、というよりは貧相……
14 IISのデフォルトの404ページ。昔はよく見た覚えが……

独自の404ページを用意しなくとも、ApacheもIISもデフォルトの404ページを表示してくれます。実際、今回いくつか調べてみた大手企業サイトやポータルサイトでも、この画面を表示してきたものがいくつかありました。

ただし、個人的には404ページもそのWebサイトが所有するひとつのページとして、責任をもってデザインすべきと思います。404ページにサイトマップや検索を提示してあげるか否かでユーザーにとっての利便性はもちろん、運営サイドにとってはサイトへの流入率だって変わってくるはずです。

よくできたWebサイトは404ページも考えられてる。
本当は表示させちゃいけないけれど、意外とバカにできない404ページなのです。

Comment / Trackback (12)

  1. @ub_pnr

    SONY のいいな。 / 404ページに何を書く? - やっぱりWebが好き - Writing Mode http://t.co/lktZgFg7

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  2. @nulltask

    “404ページに何を書く? - やっぱりWebが好き - Writing Mode” http://t.co/Sh7aXG7Q

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  3. @aWebprogrammer

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  4. @socialnews_OL

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  5. @motchi0214

    ユーザーのことを考えている企業は、404ページにも気合いが入っている。という内容。個人的にはLIGの悪ノリ感が好きです。 -
    404ページに何を書く?
    http://t.co/hAh4VdGDEV @myen

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  6. 【4/8~4/14】先週のWebクリップ | キノめも

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  8. @i7sm

    http://t.co/sCzDAgLWkw これこれ、本当にこれ。

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  9. @i_mairy

    NAVERの404ページが当たりやわらかくて好き / “404ページに何を書く? - やっぱりWebが好き - Writing Mode” http://t.co/4P5niGNGkh

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  10. @carubo

    サイトリニューアルの案件の時は404もちゃんと作った方がいいかも↓
    404ページに何を書く? - やっぱりWebが好き - Writing Mode
    http://t.co/JemtUUV7lC
    #carubo_study

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