仕事の話アレコレ

時間を上手く管理するために必要な決意

「忙しい」というネガティブな響きのある言葉はなるべく発さないよう意識しているけれど、一人だけでいろんな仕事を抱え込んでしまったり、すべてのオファーに「YES」と答えていたら、時間はいくらあっても足りなくなる。
僕にとって今年は、これまでより一歩上の仕事をするために時間の使い方を真剣に見つめ直す必要がある年でした。2013年最後のエントリーは、限りある時間をなるべく有効に使うために、この1年、僕がなんとなく心がけてきたことを整理してみます(最初に断っておくけど、完璧に遂行はできてないよ)。

間が足りずに自分で抱えられないタスクを解決するためには、いくつかの方法があります。
たとえば信頼できる人に解決を託すことも考えられるし、そもそもタスクの内容を見直して少ない時間で解決できるタスクに変えてしまうことも考えられる。
しかし、いくつかの策を練っても引き受けられそうにないタスクに対しては、「NO」と言えることが必要になってきます。ここでもっとも大切な視点は、「NO」と言うために、自分(たち)にとって優先すべき「YES」が一体何なのか。

「時間管理のマトリックス」を意識してみる

経営コンサルタントとして世界的に有名な故・スティーブン・R・コヴィーの著書『7つの習慣』には、第3の習慣として「最優先事項を優先する」ことが紹介されています。
『7つの習慣』に記載されている「時間管理のマトリックス」は、言われてみればものすごく当たり前のことなんですが、自分なりにこういった時間の使い方を整理しておくことはとても大切。

Amazon.co.jp: 完訳 7つの習慣 人格主義の回復: スティーブン・R・コヴィー, フランクリン・コヴィー・ジャパン: 本

コヴィーは、僕たちが時間を使う活動は「緊急度」と「重要度」で区分けされた以下の4つの領域のどれかだ、と述べています。
4つの領域のうち、第Ⅰ領域は「緊急かつ重要」な活動、第Ⅱ領域は「緊急ではないが重要」な活動、第Ⅲ領域は「緊急だが重要ではない」活動、第Ⅳ領域は「緊急でも重要でもない」活動。

僕なりに第Ⅰ〜第Ⅳ領域に相当する活動を書き出してみるとこんなイメージ。日々の活動は必ずしもきれいにマトリックスに分類できるものではないけれど、なんとなく分類してみることは重要

上記にあるように、第Ⅰ領域の活動は日々の活動でもっともエネルギーを注ぐことになるであろうものです。代表的なものは、納期が近くて今やらなければならない仕事です。
しかし、この第Ⅰ領域の活動ばかりに忙殺されている人は、なかなか新しい視点を持ったり、新たな知識を吸収するための「投資」に時間を割くことができません。
一番大切なのは「今でしょ」というのには僕も賛成ですが、今だけでなく数年先の自分に投資するための時間をきちんと確保する必要はあるはず。要は、マトリックスで言うところの第Ⅱ領域の活動にどれだけ時間を費やせるか、どれだけ意識を高く持って第Ⅱ領域の活動ができるかが大切になってくるということです。

忙しくてもステップアップできる人がやってる3つのこと | sogitani.baigie.blog

第Ⅰ領域の活動は、全力投球が必要でプレッシャーのかかるものが多い。ここの活動に忙殺されてしまう人の多くは、ストレスから逃げるために残った時間を第Ⅳ領域に費やすことになる、とコヴィーは述べています。
とはいえ、第Ⅳ領域のない生活はありえない(ここがまったくない人は病んでしまうと思う)し、そもそも第Ⅳ領域の活動が第Ⅱ領域とまったく関係ないわけでもありません。
偶然プライベートで知り合った人が生涯重要なパートナーになることはありえるだろうし、FacebookやTwitterだって、ただの暇つぶしではなく重要な機会創出の場になる可能性はある。

あくまでも時間管理のための尺度としてこうしたマトリックスを頭に入れておくとよいだろう、ということです。現実には「重要度」や「緊急度」をそうはっきりと定められないものもあるし、頭ではこうした理屈をわかっていても実践できない時だってある。

限られた時間でどれだけのことができるかは常に重要

時間との闘いはプレッシャーの連続。ストレスに押し潰されないためには、己を磨くしかない。「自分なり」に頑張ることは諦めない

たとえば、Webデザイナーは能力が高ければ高いほどクオリティの高いものを短時間で作れるようになるし、Webディレクターは能力が高ければ高いほど多くの重要案件を担当できるようになる。当然の話。

時間管理のマトリックスで言えば、第Ⅰ領域の質や効率をどれだけ高いレベルまで高められるかということから目を背けることはできず、自分のキャパ(時間的にも、肉体的にも、精神的にも)に余裕があるからこそ第Ⅱ領域(またはその他の領域)の活動に時間を費やすことができるはずです。
つまり、結局は今を大事にし、今頑張ることからは逃げちゃダメってことです。現在の立ち位置や状況を受け入れて、少しでも自分の能力を引き上げよう、現状をよくしよう、というマインドは絶対に忘れてはダメだと思う。
今の自分に任された目の前の仕事をタダの「作業」だと諦めてしまうような考え方は、自分にとっても、一緒に働く人にとっても不幸なんじゃないかな。

そして自分の職務を全うできないにもかかわらず、個人的な第Ⅱ領域の活動ばかりに興味津々な人は、他人からすればただの「ワガママ」でしかない。
たとえば僕が今こうしてブログを書いていることは、僕個人にとっては第Ⅱ領域の活動だけど、上司・同僚・部下から見れば会社の利益に直接的には影響しない僕個人の「趣味」なわけです。
そう。プライベートワークはあくまでもプライベートな時間を上手に捻出して行うべきというのが活動の基本方針。僕たちはWebに関わる仕事をしているから、勤務時間中にFacebookやTwitterの画面を一切見るな、とはさすがに思わないけれど、つまりはそういうこと。

今抱えている仕事を少しでも早く終わらせるのが第一優先課題。そして、もしも勤務時間中に手が空くようなことがあれば、自分だけでなく仕事仲間にとってもプラスをもたらす可能性のある第Ⅱ領域の活動を行うべき(仕事と離れたプライベートな時間をどう使うかは、もちろん個人の自由だと思う)。
整理してみるとものすごく当たり前の話なんだけど、結局のところ優秀な人はそういう活動を自然とチョイスすることができているんだと思います。

そして考え方は理解できたとしても、ある程度厳しく自分を律することができなければ、第Ⅰ領域の質や効率を高めることも、第Ⅰ領域以外に費やす時間を上手に捻出して活用することもできないわけです。
要するに、「簡単に満足するな」「甘え過ぎるな」ってことですね。逆に「頑張り過ぎるな」でもあるんだけど。

結局、自分は何がしたいのか。そして、何ができるのか

数年後、自分がどうなっているかはわからない。でも、漠然とでいいから、どうなっていたいのかは考えないと努力のしようがない

コヴィーは、第Ⅲ領域と第Ⅳ領域だけに時間を使っている人は「根本的に無責任な生き方をしている」と述べています。
厳しいことを言えば、第Ⅲ領域と第Ⅳ領域ばかりに時間を費やしているということは、本当に自分がやらなければならないことから逃げていたり、本当に自分がやりたいことをきちんと見つけられていない、ということなんじゃないでしょうか。

若いうちは自分の将来なんてボンヤリしている(年をとっても鮮明に見えるわけじゃないと思うけど)し、いろんな人に導いてもらい、助けてもらって当然です。謙虚に学ぶ姿勢もとても大事だし、若さという権利を武器にしていろんな先輩に教えを請えばいい。
僕だって今年1年間、いろんな人たちにお世話になったと思ってます。いろんな人からいいパスをもらえたし、時にはゴールを決めればいいだけのアシストだってしてもらいました。感謝。
だけどそれは、自分のなかに「これをやりたい」「こうしたい」があって、それをきちんと相手に伝えてきたからこそ受け取ることができたパスだとも思うわけです。

パスを出す側からすれば、どこに向かってゴールを蹴り込むつもりなのかわからない人にパスなんてできない。だから、自分のゴールがどこにあるのかを周囲に表明していくことは大切。そして、それは決して独りよがりなものでなく、誰にでもわかりやすく誠心誠意伝える努力が大切なんだと思う。

もっとも大切なのは、自分のゴールは自分で決めるべきものであるということ。そこを他人に委ねているうちは、自ら主体的に動くというのはありえないと思う。
サラリーマンの場合は少なからず自分のゴールを会社に設定してもらっている状況なわけで、そうしたことを自覚し受け入れつつも諦めずに自分の力でできることを模索してチャレンジし続けていくことが重要なんじゃないでしょうかね。

なんだか時間の使い方とは少し話がズレてきたような気がしますが、つまり何が言いたいかというと、時間を上手に使うと言っても、そもそもゴールが見えていなければ優先すべきことが何なのかの判断ができないということです。
時に魅力的で可能性のあるオファーを断ってでも優先すべき大切なこと(=「YES」)があるから「NO」と言える。そして自分にとって何より優先すべきゴール(=「YES」)は自分にしか決める権利がないはず。「自分」と書くと自己中心的に思えるかもしれないけど正確には「自分たち」、社内外問わず自分と関わりの深い人たちまで含めて「自分」だと考えてます。今の僕は。

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なんだか哲学的な話になりましたが、まあ、そういうことをちょっとだけ頭の片隅に入れながら日々を過ごせるかどうかでだいぶ自分が使える時間に対する意識が変わってくるのは間違いない。
シンプルにまとめると、「自分は何がしたくて、そのために何ができて、何に時間を費やしたいのか」ということでした。

とは言え、「自分にとってのゴール」とか、あんまり根詰めて考え過ぎてもしんどいので、僕もほどほどに考えようと思います。まずは2014年に向けての目標でも。

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