ホーチミンのラウンドアバウトで改めて得た教訓
僕の2014年はベトナム出張から本格始動。
暖かくて、何となくほのぼのした南国風情漂うホーチミン。とても若く活気溢れる東南アジアの大都市とそこで闘う日本のビジネスパーソンたちをこの目で見てきて、ハッとさせられるものは確実にありました。
僕が所属するシータス&ゼネラルプレスは2003年(当時はシータス)からホーチミンに進出しています。
現地日系企業のクリエイティブをサポートするとともに日本のオフショアとしての機能も担っていて、僕は2010年から数回ベトナム人スタッフとやりとりを行ってきました。最近は現地のデザインサポートも行なっていて、日系企業向けには東京でWebデザインをすることも。
そんなこんなで、現場の視察やクライアントとの打ち合わせなどを兼ねてのベトナム初出張でした。
自分なりのアイデンティティを海外でも発揮できるように
ベトナム人は非常に真面目です。お願いしたことはきちんと期日を守って正確にこなすし、基本的にはニコニコしていてとてもおおらかな国民性。日本人との相性はとてもよい。
一方、神経質で気を遣い過ぎる日本人と違って、お願いされた以上のことは「やらない」という割り切りの良さがベトナム人にはある。
仕事なので当然と言えば当然のスタンスだし、「オファーする側がきちんとすべて指示を出せ」というのはごもっともな話でもある。
僕が仕事をお願いする立場である以上、いろんな意味で自分が彼らにとって価値ある「人材」であることは絶対条件。現地スタッフからは「君はすごい人なんだろ?」という目で見られることも多いわけで、自分が彼らにリスペクトしてもらえるに足る人間かどうかはとても重要。
めちゃくちゃ当たり前の話なんだけど、外国人とやりとりする時は日本で働くよりも一層そうしたことを意識します。舐められたら(あっさり舐められちゃうような実力しかないようならば)終わりだと思う。
結局、国が違おうが、言葉が通じようが通じまいが、根っこのところは変わらないってことなんだと思う。「お前は一体何がしたくて、何ができる人間なんだ?」というアイデンティティは、いつでもどこでも常に重要。
カオスなラウンドアバウトを走り抜く絶妙なバランス感覚
ホーチミンの交通手段は基本的にクルマとバイク。交通量は朝から晩まで非常に多く、特にバイクの多さには圧倒されます。
そして市街のラウンドアバウトには右から左から、前から後ろから大量のバイクが押し寄せてくる。みんながそれぞれ自分の行きたい方角にハンドルを切って我が道を行くカオスがそこにある。
無法地帯のようであり、しかし、事故はなかなかどうして起こらない不思議な空間。
ホーチミンのラウンドアバウトでは、相手を待っていたら自分は一生前に進めないし、逆に自分のことしか考えていない場合は誰かとぶつかってしまうに違いない。ちょっとした判断の間違いで事故ってしまうような状況で、絶妙な「押し」と「引き」のバランス感覚を持っていないと決してあのラウンドアバウトは走れない。
ベトナムで一番感動したのは、一見カオスだけど、実は絶妙なバランスで不思議と問題なく回り続けるラウンドアバウトでした。
仕事にしろ何にしろ、生き方っていうのは基本的にホーチミンで見てきたラウンドアバウトと一緒だよな、と思います。
「オレがやる」と宣言して無理矢理にでも前に進めないと何もはじまらないこともあれば、逆に「オレが、オレが」と独りよがりになり過ぎると周囲が見えずに事故を起こしてしまう。バランスよい「押し」と「引き」があって、物事はうまく回り出す。
押し引きの匙加減をどれだけ高いレベルでできるようになるかが人生の醍醐味ってことなんだろうな。
大切なことは結局いつでもどこでも変わらない
10年間、ホーチミンで現場を率いてきた日本人社長と3日間行動を共にし、いろいろと話を聞いて見出せたことは、決して新しい発見ではなく「納得」「再認識」という感覚に近い。
時代は変わるし、国も変われば人も変わる。それでも、我々が生きていくうえで大切なことは結局いつでもどこでも変わらないんだ、きっと。
真面目で、誠実で、勤勉であれ。
謙虚に、慎ましやかに、敬虔に生きよ。
「人」を大事に、誰に対してもリスペクトは忘れず、基本は優しく、ときに厳しく。
いつでもどこでも通用するコンペティティブなプレイヤーをめざせ。
無駄に周囲に流されず、自分のリズムを刻みながら、スキルの修得と人格を磨く努力は怠るな。
一度きりの人生を悔いなく生き抜くだけのタフさを身につけろ。
とは言え、あんまり肩肘を張り過ぎずに、ほどほどにチカラを抜いて人生を楽しめ。
世の中はとてもシンプル。
自分が楽しんでやりたいことを通じて、自分はもちろん、一人でも多くの人を幸せにできるよう頑張り続けるだけなんだと思う。自分なりの信念を持って「やりきる」だけ。
人としてものすごく当たり前のことをどこかで忘れてしまっていないか、改めて自分に問うきっかけになった年明け早々のベトナム出張でした。
そんなこんなで、2014年のWriting Modeもぼちぼち始動です。
本年もよろしくお願いします。
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