よく学びよく遊べ

僕のデザインノート2016

本格的にWebを仕事にするようになって、この9月でちょうど10年が経ちました。
前身のHiGash.NetからWriting Modeにカタチを変えて書き続けてきたブログも9年目に突入中ですが、そろそろ書きたいと思うネタも少なくなってきていて、今年はこのエントリーが3個目。
HiGash.Net同様、今後しばらくはWeb上に残し続けるつもりですが、Writing Modeもちょうど50個目となるこのエントリーを最後に更新をストップしようと思います。
これまで当ブログをお読みいいただいた方、どうもありがとうございました。

きたいことを書きたいときに書いてきた自分勝手なメディアでしたが、記事を書いた翌日に1万を超えるページビューがあったりするとやっぱり嬉しくて、書き続けるモチベーションになりました。
また、ブログを通じて執筆や講演など、お仕事の引き合いをいただくこともありました。
改めまして、こんなブログやその作者に興味を持っていただいた方々に対してお礼申し上げます。
どうもありがとうございました。

Webを取り巻く環境は僕が本格的にWebに取り組むようになった10年前から大きく変わり、Web・IT系のビジネスは当時よりも随分と重要視されるようになりました。
「ウェブはバカと暇人のもの」なんて言われたりもして、なんとなく肩身の狭い想いをしながらWebを作ってきた僕らにとって、昨今のWeb・IT業界の盛り上がりっぷりには、何かこそばゆさすら感じるほどです。

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書) : 中川淳一郎 : 本 : Amazon

一方でテクノロジーの進化はとてつもなく速く、今でこそもてはやされど、WebデザイナーやWebエンジニアという職業なんて、あっという間になくなってしまうかもしれない、という怖さもあります。
年をとったからなんだろうけど、常に変わり続ける世の中で、あえて変わらずにいること、変えなくてもよいことを見出す必要性も強く感じるようになりました。
柔軟であることと、ブレブレであることは違う。

26歳の秋、僕は独立を諦めた

「石の上にも三年」。昔は長く感じた3年も、今じゃあっという間にさえ感じる。10年続けて初めて見えるものは確かにある

ほとんど人には話したことがなかったのだけれど、初めて正社員として勤めたデザイン事務所の先輩と、2人で独立したことがありました。25歳の頃の話です。
当時、雑誌のエディトリアルデザインを中心にグラフィックの仕事をしていた僕はまだ若く、体力にも自信があったし、今よりもっと世間知らずで夢も野望もありました。

大学卒業後にアルバイトからはじめて、やっと就くことができた「デザイナー」という職業。技術的にはまだまだ未熟だったけれども、それなりに仕事を任されるようにはなってきていた。
だからこその「勘違い」もあったし、何よりも大学在学中から回り道を経ていたから、少しでも早く成果を出したい、成功したい、という焦りがあった。

毎日ハードワークしたし、出版社の仕事を中心に仕事の量はそれなりにあった。でも、デザインとしてアウトプットを生むということと、それがビジネスとして成立するということの間には、結局のところ大きなギャップがあった。
もう少し長く続けていれば結果は変わっていたのかもしれないけれど、とにかく僕はたったの1年で独立を諦めた。

知人に誘われたこともあり、逃げるように、ちょっと受け身な気持ちでWeb業界に入ったのが26歳の秋。
僕にとってデザインの師匠だった先輩との別れ。中途半端な覚悟で独立を試みて、先輩の期待を裏切った罪悪感は今なお消えない。

もう少し、続けるべきじゃなかったか。

腐らずに、根気強く続ける

「継続は力なり」。しかし、わかっていても続けることは難しい。だって、やめることのほうが簡単だから

今思えば、実はもっとも難しいのが「続ける」ということなのだと思います。
続けるためには変えるべきことを変えなきゃいけない。ずっと同じことを続けていけるわけじゃない。
なぜなら、自分も周囲も変わっていくから。

「Webデザイナー」という職業が生まれてまだ20年ほどですが、近いうちにそんな職業はなくなってしまうかもしれない、という人もいる。
時代は変わる。頑張ったから続けられるわけでも、考え抜いたから続けられるわけでもない。

フリーランスWebデザイナーという職業も無くなる4つの理由 | freshtrax [フレッシュトラックス] | btrax ブログ

そして、時折消えてしまいそうな火を絶やさないよう、モチベーションを保たなければ続けることができない。
肉体的にも精神的にも、ずっとベストな状態をキープし続けられるわけじゃないから、弱った時はほどほどに、よい時も決して調子に乗り過ぎず。何事もバランスが大事なのだと思います。

基本はやりたいようにやりたい、生きたいように生きたい。
でも、現実はやりたくないことや苦しいことのほうが多いから、フィジカルもメンタルも鍛えてメンテナンスして走り続ける。

2カ月で10kg減量。健康なカラダをデザインする – 食と暮らしのエトセトラ – Writing Mode

メンタルを整える。自分のリズムをキープするための僕のメソッド – よく学びよく遊べ – Writing Mode

行けるときは思い切って、でも、たまに立ち止まって我に帰りつつ、ちょっとずつカタチを変えながら、芯はブラさず自分にできることをやり続けるだけ。
急がず、休まず(Haste not, Rest not.)。

負い目こそ、我がエネルギー

ブログを、単に愚痴や文句を垂れ流すだけの場所にしたくなかった。名前を出してブログを書いた理由はただそれだけ

匿名性が高いのはWebというメディアの利点でもあるけど、僕はあえて実名でブログを書いてきました。
匿名だからそうなるというわけではないけれど、裏でコソコソ発言したり、単なる愚痴になってしまったり、できる限りそういう場にしないための自分なりのケジメです。

とは言え、僕だって愚痴も文句も言うし、すべての行動に矛盾がないわけではない。
時に誰かを裏切り、傷つけてきた人生。感情的で説明のつかない行動はある。だって、人間だから。

Writing Modeのタグライン「Haste not, Rest not. (急がず、休まず)」はドイツの詩人ゲーテの名言ですが、一連の言葉は以下のように続きがあります。

星のように急がず、しかし休まず、ひとはみなおのが負いめのまわりをめぐれ!

人間、何の負い目もなく生きている人なんていない。
なぜ負い目を感じるのかと言えば、それが自分自身の関心事だったから。だから、負い目から目をそらして逃げるのではなく、直視して苦しんで、その負い目のまわりを生き抜くことが人生なのだ、と。

なんだか哲学的な話になったけど、あんまり世の中を達観し過ぎるのもよくない。
むしろ世の中を傍観するようになったら終わりだと思ってる。
どうやったら、今より少しでもよくなるか、面白くなるか、幸せになれるか、頭を使って考え続けなければいけないんだと思う。

20代なかばの頃、師匠のデザインを傍目に見ながら、「なんで自分はこんなにデザインが下手なんだろう」と、気づいたことをひたすらノートに書いていました。2004年から2006年頃の話。
それが、「僕のデザインノート」。

Webを仕事にしはじめて、デザインノートはブログにカタチを変えて、今日に至る。

「三つ子の魂百まで」。絵描き少年は、年をとっても絵描き少年のまま、デザインすることからは逃れられない。好きだからこそ続けられる。「好きこそ物の上手なれ」。
だから、プライベートブログを卒業しても、どこかで何かを創作すること自体は続けていきます。

なので、きっとまたどこかでお会いしましょう。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

Comment / Trackback (1)

  1. @clou_doo

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