クリエイティビティの磨き方
最近よく考えるのは、クリエイティブシンキングとロジカルシンキングのバランスのあり方。
僕は職業柄クリエイティブな思考が好きだし、「その発想はなかった!」という物事に対して心が突き動かされるタイプです。一方で、ビジネスにはロジカルな思考だって必要不可欠。
Webサイトを作る仕事ひとつとっても、想像したものを画面に落とし込むための要件定義や実装作業は欠かせない。理想のデザインを妄想しているだけじゃWebサイトを生み出すことはできないのです。
生前、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式辞で述べた “Stay hungry, stay foolish.” という言葉が好きです。
スティーブ・ジョブス スタンフォード大学卒業式辞 日本語字幕版 – YouTube
日々の生活のなかで、一歩下がって、全体を見渡してみて冷静な決断をしなければいけないシーンは多いけど、基本的にクリエイティブな発想というのは冷静に考えて生み出せるものではないと思う。
僕は現実世界を達観して、夢や理想ばかりを語る「夢追い人」を気取るつもりはないけれど、いくつになってもfoolishな一面を忘れたくないと思うのです。
歩み出すこと、生み出すこと
同じくスティーブ・ジョブズの名言に “Real artists ship.” という言葉があります。
直訳すると「本物の芸術家は出荷する」。出荷するとはつまり作品を世に出して消費者の反応を問うということ。
生きる意味、働く意味、デザインを作る意味を考えて日々を過ごすのは大切だけれど、世の中にはどんなに頑張って考えても正解がないことだって多い。
決して考えることを諦めちゃダメだけど、考えただけで満足してもダメなわけで、大切なのは考えた結果、次の一歩が踏み出せるかどうかじゃないでしょうか。
僕自身はデザイナーとしてアウトプットを生むことにこだわってきたつもりだし、今後もそのこだわりは持ち続けたいと思う。
やろう、とひらめく。
そのとき「いまやろう」と腰を上げるか、「そのうちに」といったん忘れるか。
やろうと思ったときに、なにかきっかけとなる行動を起こす。それができない人は、いつになってもはじめることができない。むしろ次第に「まだ準備ができていない」という思い込みの方が強くなっていく。
いつの日か、十分な知識、道具、技術、資金、やろうという気力、いけるという予感、やりきれる体力、そのすべてが完璧にそろう時期がくると、信じてしまうのだ。
グラフィックデザインをやっていた頃から通算して、僕はデザインの仕事をかれこれ10年以上やってきたけれど、100%満足のいったアウトプットなんていまだにありません。
自分自身の満足はもちろん、ときに品質の問題だったり、期日の問題だったり、クライアントを満足させられなかった失敗だって多々。
もちろん、これまで自分の作ってきたものはすべて中途半端な未完成品だと居直るつもりなんてない。あくまでも、その時々、その時点で自分のベストを尽くしてきたのであって、今となっては常にその考え方でいいのだと思うわけです。
いつまでもリリースをためらっていたら、一生デザインなんて完成しないという割り切りはどこかに必要なはずで、まずは作りきることが大切なんだ。
現状維持は衰退と同じ
ウォルト・ディズニーは「ディズニーランドはいつまでも未完成である。現状維持では、後退するばかりである」と言ったそうですが、僕もこれには同感。
自分に変わるつもりがなくても、世の中は、時代はめまぐるしく変わっていくわけで、周りのみんなが成長しているのに自分に成長がない状況は相対的に見れば衰退とイコール。
「唯一生き残るのは、変化できる者である」とはチャールズ・ダーウィンの名言ですが、つまり環境にあわせて変化しないものは淘汰されていく運命にあるということです。
Webデザイナー、これからの10年 – 仕事の話アレコレ – Writing Mode
クリエイティブと一言で言っても、真っ新な更地に革命的な何かを生むものもあれば、ある程度できあがったものを細かく改良していくことによって生まれるものだってあります。
だから、現状維持がNGというのは、何もルーチンワークを捨てろという意味ではありません。
むしろ世の中にはゼロからイチを生み出すような仕事のほうが稀なはずで、日々のルーチンワークのなかにも工夫や改善の余地はきっとあるはずだということです。
従順であること、信じること、無心になることが大切な一方で、何も疑わず、何も考えず、戦わずして何か新しいものを生み出すことはきっとできないでしょう。
細部にこだわりを持つこと
「そこじゃないだろ」と突っ込まれるような細部にいつまでもこだわり続けても仕方がないけれど、決して細部から逃げないことは重要に思います。結局のところ、神は細部に宿るのだと思うから。
Webデザイナーとして必要な、マクロ視点とミクロ視点 – 仕事の話アレコレ – Writing Mode
そして細かいことに無我夢中になれるのは、結局それが好きだからだと思う。
仕事は好きなことばかりではなく、むしろ辛いこともたくさんあるけれど、楽しめなければ長く続けることはできない。大人としての我慢は大事だけど、我慢ばかりではきっと病んでしまう。
自分自身が楽しめること、やりたいことを仕事に結びつけていくのは決してズルいことでなく、とても大切なことに思います。
デザイナーとして成長するために重要なたったひとつのこと – 仕事の話アレコレ – Writing Mode
一方でクレイジーなまでの情熱に対してはロジカルなブレーキも必要で、ブレーキがないといつまでも間違った方向に走り続けたり、事故を起こす危険性が高まってしまう。
やる気や根性、元気だけで乗り越えられるほど、世の中は甘くないのも事実です。
多様な考えを知ろうとすること
自我を持ち、自分を信じることは大切。
だけど、小さな殻に閉じ籠っていても仕方がないので、自分をよく知る意味でもいろんな人のいろんな考えを知ろうとすることは大事だと思います。
人それぞれに生まれ育ってきた環境は違うから、これまでに直面してきた課題だって人それぞれ。人生に対する考え方はいろいろあるわけで、どれも間違っていないし、かといって正解があるわけでもない。
人の気持ちを考える。相手の立場になって考える。生きていくうえで当たり前のことだし、実際に相手の立場になりきることは不可能なんだけど、その意識の有無はモノを作るうえでも重要になってきます。
何のためにアウトプットするのか。
それはもちろん自分のためであり、同時に人のためでもあるのだから。
4月末に35歳を迎えて数年ぶりに少しゆっくりゴールデンウィークを過ごしつつ、2015年中盤戦に向けて気合を入れ直すために書き出したエントリーだけど、なんだか、ここ数年のエントリーたちを改めてなぞったものになった気がしてます。
成長して変わり続けるためにも、自分のなかでブレたくない部分を再確認ということかな。
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当たり前のことだけど、当たり前のことを当たり前にできるかというと結構難しい。|"クリエイティビティの磨き方" http://t.co/onxRLJ0eRh
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