食と暮らしのエトセトラ

あえてネットを遠ざける。Webデザイナーにこそすすめたい「デジタル・デトックス」

今年から僕は意識的にほとんどSNSを見ず、書き込みもしていません。
なので、Facebookで何かのイベントに誘われたりしても気づいてすらいない可能性があります。悪しからず。
Webの仕事をしている以上、SNS界隈の事情にまったく無知なわけにもいかないのでアカウントの削除まではしてないけど、もしも今すぐアカウントを削除したとしても、日常生活にほとんど不都合はないんだろうな。

日仕事でWebを見て、家に帰ってからもずっとオンライン状態ってのはさすがに疲れる。
だから、出社前・退社後のメールやイントラのチェックはまだしも、暇つぶしのネット接続は極力しないよう心がけてます。
SNSやオンラインゲームで時間を浪費するぐらいなら、本を読んだり、人と会ったり、運動したり、何かを考えたり作ったり、もうちょっと別のことに時間と頭を使いたい。
普段からネット漬けのWebデザイナーであるが故に、仕事から離れた時にはなるべくオフラインでいたいと思うのです。

ネットが好きだからこそ、ネットから離れる

PCやスマホの画面ばかり見てると、目もとても疲れるわけで。眼精疲労にもじゅうぶん注意したいと思います

もはやWebサービスの恩恵なしに我々の日常生活は考えられない。
サービスを享受する側としては、いつでもどこでもWebサイトに繋がるのは当たり前のことだと思ってしまう。だけど、365日・24時間サービスを止めないってのは実はすごく大変なことだったりするわけです。
フロント周りの僕の仕事はWebサイトの運用・保守と直接的には関わらないけど、いつ何時発生するかわからないトラブルを常に待ち構えていなければならない人たちへのリスペクトは忘れたくないですね。

極端に言うとそれぐらい僕らの仕事は四六時中インターネットと切っても切れない関係にあるわけで、意識的にネット断ちを決意しないとなかなかオフラインな精神状態にはならない。
IT業界で働く人に限らずともインターネットを使わない仕事や生活はありえない現代だけれども、我々の場合は否応なく朝から晩までインターネットに接さざるをえないわけで、より一層ネット中毒に陥りやすい人種なのだと思います。

よくよく考えると、ここ数年、身の周りで仕事を辞めていく人たちを見ていると、次のステップとしてインターネットとはほぼ無関係の仕事を選択しているケースが多いように感じます。
インターネットに疲れたからなのかどうかはわからないけど、これまでWeb制作に長く接してきたはずの人がそういう選択をしているのを見ると、「ネット疲れ」については僕も目を背けられない問題だな、と感じます。
なんだかんだでインターネットが大好きでこの仕事をやっていて、まだこの仕事を辞める気はないからこそ、変なストレスは貯め込みたくない。

だからこそ、あえてネットを意識的に遮断してみる。
今年は、FacebookもTwitterもTumblrも、LINEもPathもInstagramもFoursquareも、基本は要らないというスタンスでいます。
仕事で使うことが多いので、FacebookのメッセージとTwitterのダイレクトメッセージだけはiPhoneに通知が来るよう設定しています。だから、メッセージ着信の通知があったときだけはFacebookとTwitterを見にいく。

今年から実践をはじめて4カ月目に突入してみて思うのは、僕にはSNSは基本的に不要だという結論。
FacebookやTwitterに関わるWeb制作をすることも稀にあるので、最低限の知識は持っておかなければなりません。
ただし、FacebookやTwitterはコロコロと仕様が変わるので、長くやってたから制作に有利ということはあまりない気がしてて、もしも仕事で必要になったら、その都度最新事情を調べればいいと割り切っています。

自分に要らないものをちょっとずつ手放していく

不要なものはなるべくカット。余計なことは考えないに越したことはない

最近「デジタル・デトックス」という言葉をよく耳にするようになりましたね。
特にアメリカでは昨年から話題になっているようで、数日間ネットを一切遮断するキャンプが開催されるなど、まるで修行のような試みまであるみたい。

米国で話題の「デジタル・デトックス」 « クーリエ・ジャポンの現場から(編集部ブログ)

僕の場合は、前述のとおり日常のなかからちょっとずつ要らないものを削ってオフラインな状態を増やそうとしているだけであって、ネットを一切合切遮断はしていません。
ただし、ネットを見る時間を意図的に減らしたおかげで今年は読書量が増えている気がします。
昨年の夏、Google Readerのサービス終了で毎朝フィードをチェックして気になる記事を流し読みする習慣がなくなったのは、忙しないネット漬けをやめることになったひとつのきっかけだったかもしれない。
Google Reader亡き後、結局これといったフィードリーダーやキュレーションサービスは使っていません。最近は必要があれば、こちらから情報を拾いにいくスタンスでいます。

そして今年、本をよく読むようになって気づくのは、これまでの僕のインプットってとにかく早く、手短に、適当にやっていたんだということ。1〜2年しか賞味期限のないであろう使い捨ての技術の修得に時間を費やしても仕方ないし、できるだけ「早く」知ることを優先的に考えていたからなのかもしれない。僕らの仕事ではスピードに対する意識はとても大事なことなので、そういう感覚も必要だとは思います。
ただし、長く普遍的に使える技術や考え方ってのはあるわけで、じっくりと行間を読むような読書体験の必要性も改めて感じる今日この頃。

最近仕事をしていてよく思うのは、そもそも「人の話をよく聞く」ってことをみんなしてないよなぁ、と。自分も含めて。
相手の表情とか声のトーンとか、実際に会って話さないとわからないことは多いはずなんだけど、メールでそれを済ませてしまってる。
どんなに慣れてもメールのコミュニケーションってやっぱり難しいわけです。言葉はとても大切だけど、それでもコミュニケーションの一部でしかないので、言葉尻だけ追っても読み取れないことがあると思うんだよね。

「1言って10理解しろ」なんて傲慢なことは思わないけど、コミュニケーションって基本はそういうことなんだよね、と思います。
「4言って6しかわからない(やらない)」人に誰もお願いごとをしたいとは思わないでしょ。
そう考えると、より深く相手のことを理解しようと思ったら、大事な局面では直接会って話すことを心がけたほうがいい。

もちろん時間は有限だから、あくまでも大事な局面で、ってのもポイントなんだけど。

評判は気になる。気にしていいけど、気にし過ぎないこと

頂上をめざす努力は大切。同時に、実は我々はどこにも向かってないのだ、という軽い気持ちだって必要

僕だってエゴサーチをたまにやったりします。

自分の作ったものはちょっとでも話題になってくれればうれしいのはデザイナーとして当然だし、このブログだって、たまに何かの弾みで急激にアクセスが増えたりするともちろん自信にだってなる。
以前書いたエントリーにも通ずる話だけど、デザイナーは決してアーティストじゃないから、自分の作品に自己満足してるだけじゃ務まらない。

商業デザイナーとして遅かれ早かれ突き当たるであろういくつかの壁 – 仕事の話アレコレ – Writing Mode

自分(と自分が作ったもの)の価値は自分で決めるものではなくいろんな人に決めてもらうものなわけで、そういう意味では周囲の視線を気にせず生きていくなんて、人と関わって社会で生きていくと決めた以上不可能なこと。
だから、周囲からの評価やフィードバックに耳を傾ける姿勢はいつでも大切だと思ってます。

ただし、人から評価を得たいがためだけに僕らは生きているわけじゃないので、自分のやりたいことと人に認めてもらえることの間にうまくバランスをとることがとても重要なんだと感じます。
謙虚過ぎても自分がなくなるし、我が強過ぎてもただのワガママ、自信過剰。
自分がやりたいことをやって認められる。人から認めてもらえる(誰かの役に立つ)からやりたいと思う。
この2つは決して別々のことじゃなくて繋がっているのだということを最近よく考えます。

で。何が言いたいのかというと、ネットのやり過ぎは他人の意見を気にし過ぎることにつながるんじゃないかと思う、ということ。
日本人の特徴だけど、結果的に他人と同調し過ぎて「いいもの」も「悪いもの」もみんな一緒になっちゃう。
どこかのお店でご飯を食べるのにも、食べログの評価を気にしてる自分がいる。
いいじゃん、たまには適当にそのへんのお店入ってみれば。ハズれてもたいした問題じゃないし、もしかしたら大当たりってこともあるかもしれない。

何をするにもネットで調べて行動するんじゃなくて、細かいことは気にせず自分で考えてやってみる。時には他人や世の中をまったく意識しない瞬間も必要なんじゃなかろうか。
人間、真剣に何かに集中しようとすると一人にならなきゃいけないはずだから、「孤独」はクリエイターにとって新しい閃きを得るために必要なシチュエーションなんだと思います。

“プチ”デジタル・デトックスを実践してみて3カ月。そんなことが見えてきた2014年の春なのです。

Comment / Trackback (6)

  1. RSS (@RSSbyLovesnaej)

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  2. kumo@like (@clou_doo)

    [★] あえてネットを遠ざける。Webデザイナーにこそすすめたい「デジタル・デトックス」 - http://t.co/81atZZTKI2

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  3. @nobgraphica

    “1〜2年しか賞味期限のないであろう使い捨ての技術の修得に時間を費やしても仕方ないし”ってところ、とても納得感があった。|あえてネットを遠ざける。Webデザイナーにこそすすめたい「デジタル・デトックス」: http://t.co/kv0Zehx9RR

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  4. @suzutum

    あえてネットを遠ざける。Webデザイナーにこそすすめたい「デジタル・デトックス」 - 食と暮らしのエトセトラ - Writing Mode http://t.co/lEZ2KZLN5G

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  5. @taka1986_

    この記事読んで思った。
    確かに最近やたらと口コミばかり気にしてる。。 http://t.co/jPmeIfVnrr

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  6. @xxnobuxx

    なかなか面白いです。俺も基本SNSの通知しなくなりました。
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