仕事の話アレコレ

東新宿オフィスへ旅立つ君へ

サラリーマンとして働く以上、人事異動というイベントは付き物。1年強、我が部署で新米Webデザイナーとして働いてきた後輩のT君が、10月から東新宿オフィスへ異動します。まだまだ若くて才能溢れる君にだからこそ、今日はあえて先輩として厳しいことや偉そうなことを言っておきたいと思うのです。

月からウチの会社は新しい期が始まります。サラリーマンである以上、会社都合によるイベントには回避しようのないものも多いわけで、人事異動というやつはそういうイベントのひとつです。
個人的にはもっと君に教えてあげられることがあったなぁ、と思いつつも、なんだかんだで1年以上は一緒に働いてきたわけで、僕(とその周囲の先輩たち)から何かしら得たものはあったんじゃないかしら、とも思ってます。よい刺激だけでなく、なかには悪い刺激もあったかもしれないけれど。

だから今後、異動先でどれだけやっていけるかは結局のところ君次第だね、という想いもあります。知ってると思うけど、僕は先輩としては放任主義。細かいことはなるべく言わないようにしてるし、君に任せられることはなるべく任せてしまうようにしてきました。
人間は生温い環境で手取り足取り教えられて育つわけじゃなく、自分で考えて成長していくべきだと思っているから。これまで、僕が君に教えてきたことはお客さんからお金をもらうための仕事として最低限なすべきこと、ぐらいに思ってほしい。

ライバルと君を差別化できるモノが何なのかは君自身で考えていくべき。先輩に教えを乞うのではなく、先輩に教えてやるぜ、ぐらいの気持ちで仕事していってほしいです。

小さくまとまるな。大胆に作りなさい

時にルールは破るためにあるもの。ルールに従順なだけではダメなのです

デザインにおいて、君に一番言いたいのがこれ。

文字詰めとか、細かなズレとか、そういう細部をしっかり作り込むことが全然できないのは経験がないから当たり前だし、現に全然できてないと思っているけど、そんなことよりも君を見てきて一番気になったのはきれいにレイアウトしようとし過ぎるということです。

君の一番の特長は、きちんと考えられること。デザインはあくまでもコミュニケーションの一環だし、Webなんてあらゆるコミュニケーションのひとつの方法に過ぎない。
大きな視点を持って、今自分が作っているものがコミュニケーション全体のなかでどういう位置づけで、どういう役割を果たすべきなのか。そういうことをきちんと考えながらモノを作るのって大事だし、君には自然とそれができていると思う。
逆に考えてモノを作るタイプだからこそ、直感的にモノを作る感覚もぜひ養ってほしい。尖った考えや変化球だって、時には必要なんだぜ。

レイアウトで言えば、飛び出したり、はみ出したり、斜めったり、汚したり……そういうルールを破った表現を上手に使ってこそ、人の視覚・視線をコントロールできるような強弱が付けられるんだ。
きれいに見やすくレイアウトするのは大事。だけど、ルールをあえて破ってデザインしてみるということにもチャレンジしてほしいな。もっと大胆になっていいんだぜ。デザインも生き方も。

時間やお金のことは気にするな。ベストを尽くせ

まったく気にするな、とは言わない。仕事でモノを作る以上、プロとしてのプライドは絶対に必要です。安売りはよくない。

だけど、君が作ろうが、僕が作ろうが、基本的にお客さんに請求するデザイン費が大きく変わることはありません。
ということは、君は先輩よりもずっと時間をかけて、頑張って作ってなんぼと思ってほしい。こんなこと今さら言うまでもないが、与えられた時間のなかで最大限の努力をすべし。

あえてはっきり言うと、先輩よりも先に帰ってるうちは、先輩を追い越すことはできないよ。
「僕はこんなに頑張ってる!」なんて思ってる(自分でそういうこと言っちゃう)ヤツはそれ以上の成長はないと僕は思ってる。少なくともデザインに関しては、ストイックに、常に高みをめざしてほしい。

人脈は大事。世渡り上手に生きなさい

コミュニケーション能力には長けている君にも、あえて言っておきます。人間関係は大事だと。

言いたいことは言うべきだし、自己主張はするべきだけど、言い方は考えて。物事を誰にどういう順序で相談すべきかもきちんと考えよう。そして、わからなかったら一番近くにいる先輩に聞けばいいと思う。

僕は何社か渡り歩いてこの会社で働いているけれど、会社を辞めてからも関係を続けられるような人こそ、本当に大事な人だな、と心底思うよ。
人間、持ちつ持たれつ。どんなに優秀な人だって、ひとりで何でもできるわけじゃないんだ。
自立はしてほしいし、自分に厳しくあってほしいとは思うけど、一匹狼になる必要はない。仲間は絶対に大事にしてほしい。

30歳になった君を楽しみにしてる

東新宿に行っても、たまには呑みに行こう。ジンジャーエールじゃなくて、ビールで乾杯といきたい

30歳は社会人として、デザイナーとして、ひとつの区切りだと思うから、30歳になった君を今から楽しみにしています。

思えば、24歳の頃、僕はまだバイトでデザインをしてました。なのに、とても生意気で自意識過剰だったなぁ。
今もじゅうぶん生意気な32歳だと自覚してるけど。
そういう意味では、大学卒業後すぐにデザイナーとして働いている君は、僕の24歳の頃よりも先を行ってると思う。
ただし、のんびり走ってると、あっという間に30歳になっちゃうから気をつけて。

そうそう。30歳になる頃には、ビールがジョッキ1杯ぐらいは飲めるようになるといいね。
いろいろ悩むことも多いだろうけど、いつか「あの頃は……」と語り合える日が来るに違いない。

それじゃ、東新宿に行っても頑張って。
短い間だったけど、一緒にやれてよかった(今後も一緒に働く可能性がゼロというわけじゃないが)。

ありがとう。

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